2025 年 46 巻 p. 65-71
背景・目的 日韓の温泉施設利用者の健康と生活の質を研究することは、両国の温泉文化や健康 政策に貢献するだけでなく、温泉施設の利用者がより健康的な生活を送るための手がかりを提供することが期待される。
方法 韓国と日本の温泉を利用している人を対象に、温泉の利用実態および認識の違いを把握するために、2025年2月12日、韓国釜山の海雲台温泉(海雲台温泉センター)、2025年2月5日、北海道の定山渓温泉(定山渓万世閣ホテルミリオーネ)で、日帰り入浴者を対象にアンケート調査を実施した。計120部のアンケート用紙を配布して112部を回収し、回収されたアンケートのうち回答が記入が不完全なもの6部を除いて、最終106部(韓国53部、日本53部)有効アンケート用紙を統計の分析資料として利用した。
考察 韓国より、日本は温泉をより頻繁に、平日に訪れる傾向が強い反面、韓国は利用回数が少なく週末訪問の割合が高いことが確認できた。韓国の利用者は温泉選択時に温度、水質をより重要に考慮する傾向があり、内部施設については二つの集団間の差がないことが分かった。そして、日本の利用者が温泉利用後の食欲増加、ストレスと疲労緩和、冷え性と憂鬱感の減少など、健康改善と生活の質の向上をより肯定的に認識する傾向があることが分かった。
結論 韓国人より日本人が、健康改善と生活の質(QOL)の向上をより肯定的に認識する傾向があるのは、温泉療法を通して、体と心を治療することに主な目的があったと思われる。