産業動物臨床医学雑誌
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特別講演会
獣医師による酪農経営コンサルティングプログラムにおけるリスク識別と管理方針
ジョセフ・ノードハイゼン
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2012 年 3 巻 4 号 p. 190-197

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抄録
生産者の間では,他の専門家による既存のコンサルティングに加え,獣医師によるコンサルティングプログラムのニーズが高まっている.しかしながら,牛群繁殖プログラムを例に挙げると,新規と共に離脱も多いことから,我々獣医師のコンサルティングに欠けているものがあるのではないかと思われる.最も重要であるにもかかわらず見過ごされやすいのは,適切なアクションプランを計画するための農場データの分析と解釈である.計画の骨組みや専門的なコミュニケーションの欠如も問題と言える.たとえば,我々獣医師側は生産者に対し,助言が意味するところを明確に説明していなかったり,生産者の希望を十分に把握していなかったりする.牛群のハードヘルス・生産管理コンサルティングプログラム(HHPM)は各国で応用されているが,その内容はかなり異なっているのが実情だ.骨組みもなく,整った構造のない自由形式のプログラムが運用されていることが最も重大な欠陥であり,生産者は状況や理由を理解できずに困惑することになる.その一方で,専門家により綿密に構成されたプログラムの実施は,生産者に経済的利益をもたらす.家畜の健康,福祉,繁殖および生産という領域以外にも,我々獣医師が役に立てる公衆衛生や食品安全性など関心の高い分野はある.これらの領域を総合的に網羅し,十分に編成・構築されたコンサルティングプログラムであれば,生産者と獣医師の間により良い関係が築けるであろう.感染症対策のためのバイオセキュリティプログラムがその良い例である.危害分析重要管理点方式(HACCP)に基づく品質リスクマネジメントコンサルティングプログラム(QRM)も,システム化された統合的プログラムの一例である.本稿では,これらの問題について実用性に重点を置きながら論説する.
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© 2012 日本家畜臨床学会・大動物臨床研究会
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