法と心理
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司法面接の展開─多機関連携への道程
(<法と心理学会第16 回大会大会企画シンポジウム> 司法面接をどう使うか─スキル、連携、法制度)
仲 真紀子
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 16 巻 1 号 p. 24-30

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抄録

本報告は法と心理学会第16 回シンポジウム「司法面接をどう使うか─スキル、連携、法制度─」の一つを成すものである。司法面接とは目撃者、被害者となった可能性のある子どもから、精神的負担を最小限にしつつ正確な情報を最大限得ることを目指した面接法である。本報告では、まず、司法面接の概要と特徴について述べ、その上で多機関連携の必要性、日本での現状、専門家を対象とした司法面接や多機関連携の実施に関する調査結果について述べた。多機関連携が要請される背景としては、⑴虐待事案では福祉、司法の介入が必要となることが多く、特段の配慮をしなければ複数回の面接が行われがちであること、⑵虐待を受けたとされる子どもは一般に開示に時間がかかり、このことも面接の回数を増やす方向に働き得ること、を指摘した。面接を繰り返すことは供述を不正確にし、精神的な二次被害の原因ともなる。このことを改善するために、事実確認のための面接は、関係機関が連携し、適切な方法による面接を最小限の回数で行うことが重要である。司法面接に関する現状としては、児童相談所、検察官、警察官へのトレーニングが進みつつあること、調査結果としては、司法面接の使用に関する動機は高まっているが、知識や理解の不足が連携を阻む一つの要因だと認識されていることなどを示した。連携に関するスキルや知識の提供は、多機関連携の促進に貢献することが期待される。

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