2016 年 16 巻 1 号 p. 31-35
本稿では、いわゆる「司法面接」に対する検察の取り組みについて、筆者の考えを述べた。「いわゆる」としたのは、日本では司法面接というパッケージ化された制度がないためにとった限定的な表現である。報告では、まず⑴検察における取調べの録音・録画の現状について、次に⑵検察における児童虐待事案への取組、そして⑶司法面接における被害児童の供述証拠確保及びその証拠上の問題について述べた。取調べの録音・録画の対象事件は拡大されつつあり、近年では必要に応じて被害者・参考人の録音・録画も行われるようになった。いわゆる司法面接はこういった施行の一形態と位置付けられる。検察における児童虐待事案の取り組みとしては、虐待事案では関係機関も多いことから、検察がコーディネーターとしての役割を果たす必要があること、そのため、具体的には児童相談所や警察との連携を強めること、加えて再犯防止に向けた事件処理のあり方や、服役後の処遇への対応なども重要となるであろうことを指摘した。最後に、司法面接に対する検察の取り組みとしては、児童の供述の必要性も含め、捜査の見通しを迅速に立てること、面接技法を向上させること、そして制度の問題について考えていく必要性などを掲げた。