法と心理
Online ISSN : 2424-1148
Print ISSN : 1346-8669
体験した事実を聴き取るための 面接スキル
(<法と心理学会第16 回大会大会企画シンポジウム> 司法面接をどう使うか─スキル、連携、法制度)
渡邉 和美
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 16 巻 1 号 p. 43-51

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抄録

過去20 年において、被害者支援の動きが高まる中で、日本の警察は、聴取面接を含む警察活動 において被害者に対する支援を提供することに大きな関心を寄せてきた。一方、被害者や目撃者の 聴取面接において生じる問題や、被害者や目撃者から正確な情報をできるだけ多く聴取することを 目的とした面接の技術については、殆ど関心が払われてこなかった。しかし、被疑者に対する取調 べの高度化プログラムが策定され、取調べ(基礎編)教本が作成されたことにより関心が高まり、全 国警察で心理学的な知見に基づく系統的で実践的な研修が開始された。この研修により、対象者を 誘導せずに正確な情報を聴き取るための基本的な技術を獲得できるようになった。児童に対する面 接は、被誘導性への配慮に加えて発達段階への配慮が必要である。日本における「司法面接」はまだ なく、関連機関の協同が図られたところであるが、少なくとも被害児童に関わる人たちの間で、誘 導しない聴き方について知識の共有を図る必要がある。

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© 2016 法と心理学会
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