本シンポジウムでは、法と心理学会設立から20年を迎えたことを記念し、学会設立時からの主要テーマの一つである供述の心理学的評価をテーマに、我が国における供述評価・分析手法に関する研究成果や鑑定事例、刑事司法の現場の進展とそれらに対する評価について検討した。今回は、供述評価・分析手法の展開について概観したのち、心理学・法学・法曹実務それぞれの視点から話題提供者三氏による話題提供を受け、討議を深めていった。森氏は心理学の立場から、供述分析・心理学実験・スキーマアプローチの取組みと評価について、渦中性の観点から検討した。徳永氏は法学の立場から、供述の心理学的評価に対する裁判所の消極姿勢について事実認定者の判断領域の観点から検討した。石塚氏は法曹実務の立場から、供述の信用性評価に関する裁判官と心理学者との間のディスコミュニケーションを克服する方策について検討した。また、ディスカッションでは、心理鑑定において必要とされる科学性の問題について検討が加えられた。