日本舌側矯正歯科学会会誌
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リンガルブラケット矯正法におけるラボワーク
−アナログセットアップから装置製作について−
稲垣 達朗
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2019 年 2019 巻 29 号 p. 40-44

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抄録

 リンガル矯正治療においては,目視による正確なブラケットの位置付けが難しいことや,唇側面に比べ舌側面の解剖学的形態が複雑であることからラビアル矯正で行われているダイレクトボンディングが困難である.さらにブラケットポジションのわずかな違いが及ぼす歯の位置変化がラビアル矯正よりも大きい.このことから現在,リンガル矯正においてはインダイレクトボンディングが主流である.このインダイレクトボンディングの準備段階に,セットアップモデルを使用した,ブラケットベースと歯面との間のレジンベースの作製が重要となる.このレジンベースによってセットアップモデルの情報がブラケットに反映されるからである.そして現在,セットアップ模型の製作にはアナログとデジタルがありデジタルの有用性が注目されている.一方,アナログセットアップでは歯の分割やワックス操作等,煩雑な部分もあるが,咬合器を使用することによる生体との調和,機能時の確認の正確性,歯の移動に伴うセットアップの再調整などの場面において,アナログの持つ長所は多い.今回我々が行っているアナログセットアップの製作から装置製作を紹介し,その特徴を検討したいと思う.

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