抄録
顎矯正手術において,矯正歯科医と外科医の病診連携で大切なことは,大きな治療方針の共有と患者背景の共有である.矯正歯科医と外科医が患者満足度向上のために共有すべき事項について述べる.1,上顎後方移動は最後の手段とする.2,骨格性開咬症の術前治療では開咬を閉鎖する必要はない. 3,骨格性下顎前突症の術前矯正では後方移動量を作る必要はない.4,オトガイ形成は二期的に行う方が良い. 5,顔面非対称症・下顎後退症は上下顎手術が望ましい.6,最終咬合は必ず矯正歯科医が決定する.7,醜形恐怖症・うつ病患者では顎矯正手術によって症状は改善しない.回避できるトラブルを抱える患者に介入しないことが,患者満足度に繋がる.