日本舌側矯正歯科学会会誌
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抜歯空隙の閉鎖時に行う低侵襲な局所的コルチコトミーの有用性
田ヶ原 昭弘
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2024 年 2024 巻 34 号 p. 76-81

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抄録
矯正治療期間の短縮やフェノタイプの改変を目的としてコルチコトミーが有効だと言われている.しかし,一般的に紹介されているコルチコトミーの術式は患者への侵襲が大きいことが欠点である.またコルチコトミーの効果は4か月を超えると骨のリモデリングが進み歯の移動促進効果は弱くなると考えられる.また第三大臼歯を抜歯する症例や小臼歯抜歯の症例では,抜歯したことによる外科的侵襲のためにコルチコトミーをしなくても前歯部のレベリングの時期には歯の移動は促進されている可能性がある.そのためコルチコトミーを行う時期としてはレベリングの時期よりも抜歯空隙閉鎖時に行う低侵襲な局所的コルチコトミーの方が有効だと考えられる.そして臨床的な手技としては,大きな歯肉剥離は行わずに縦切開だけを移動させたい歯の近遠心に入れ,皮質骨から海綿骨に達するグルーブを深く入れ.骨のグルーブに骨ノミを挿入して移動させたい歯が動揺するのを確認する.この方法が現在のところ外科的侵襲の程度と歯の移動促進効果のバランスが最もとれた方法だと考えられる.
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© 2024 日本舌側矯正歯科学会
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