2017 年 59 巻 1 号 p. 27-35
吃音を主訴とする自閉性スペクトラム障害(以下ASD)の青年に対し,自身の流暢な発話場面のみからなる映像を視聴する,ビデオセルフモデリング(以下VSM)を導入した.最初に作成・提供した映像は,発話は流暢であるもののASDに特徴的な行動を含んでおり,症例が拒否的な反応を示したため視聴を中断した.その後,ASDの特徴を制御した発話行動を撮影してビデオを作成し直し,約3ヵ月の視聴を行った(言語訓練も並行して実施).その結果,①自由会話の非流暢性頻度の低下,②発話の自己評価と満足度評価の上昇,が認められた.視聴後の感想では,映像視聴によって自身の話せているイメージを初めてもてたことが報告された.自己モニタリングが難しいASDの特徴を有する吃音者へのVSM訓練は,映像がASDに関するセルフフィードバックとして機能する可能性に留意すべきという注意点はあるものの,吃音の問題改善に有効であることが示された.