音声言語医学
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原著
吃音検査法から見た成人吃音当事者の言語症状の様相
安崎 文子柴崎 光世山本 佐代子
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2019 年 60 巻 1 号 p. 52-61

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抄録

成人の吃音当事者の実態を調べるため,吃音を自覚し自助グループに参加している成人42名を対象として吃音検査法1)を施行した.非流暢性頻度と重症度,構音障害の有無や音読スピードの評価,さらに中核症状頻度や音読スピードを変数としたWard法を用いたクラスター分析を行った.重症度では,16名(38.1%)が正常からごく軽度であった一方,依然として吃音を気にしている隠れ吃音についての検討の余地が残された.対象者の14名(33.3%)が構音障害を重複しており,そのうち13名が側音化構音障害であった.また音読スピードの速い群は,幼児期に吃音を発症した割合が少ない傾向が考えられた.クラスター分析の結果,4グループに区分されグループAからDへと徐々に非流暢性は重症化していたが,必ずしも区分されたグループと,非流暢性頻度や重症度とは一致しなかった.音読が改善や重症度を決めるキー項目と推察された.

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© 2019 日本音声言語医学会
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