音声言語医学
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食道発声法による語音調節
―有声・無声の弁別を中心に―
廣瀬 肇澤島 政行吉岡 博英
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1983 年 24 巻 3 号 p. 197-203

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抄録

8名の食道発声者について, 発話サンプルの聴取実験を行ったところ, 子音の有声・無声の出しわけがかなり効果的に行われていることが明らかになった.これらの被検者のうち, 4名についてファイバースコープを用いて新声門の観察を行った結果, とくに無声子音の調音において新声門が瞬間的に開大することが認められ, これによって振動の停止が実現されていると考えられた.そのメカニズムは明らかではないが, 周辺組織の緊張の変化も関与しているのではないかと考えた.発話サンプルの分析から, VOTが有声・無声の識別に重要であることが確認されたが, その他のcueの関与も考慮すべきであることが示された.

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