抄録
0歳から文字音声法に手指法を併用して言語治療を行った重度聴覚障害幼児4例の, 手指から音声言語に移行する段階を検討した結果, 以下の7段階の存在が示唆された.各聴覚障害幼児の個々の発達段階に応じた言語治療が重要であることを強調した。
第1段階は手指で受信可能となり, まだ発信手段がない段階.第2段階は, 受信で手指が音声より優勢で, 発信は手指でのみ可能な段階.第3段階は, 受信, 発信ともに手指が音声より優位な段階.第4段階は, 受信で音声が手指より優位となるが, 発信では手指が依然としで優位な段階.第5段階は, 受信で手指より音声が優勢となり, 発信では音声と手指の併用がめだつ段階.第6段階は, 受信, 発信ともに音声が手指より多用される段階.第7段階は受信, 発信ともに音声のみで可能となる段階である.