音声言語医学
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重度表出性言語発達遅滞児に対する言語訓練について
安立 多恵子松本 満美小枝 達也
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1993 年 34 巻 2 号 p. 198-202

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抄録

単音すら明瞭に構音できない重度の表出性言語発達遅滞を示した6歳男児例の臨床像と, 音声言語獲得にいたる改善経過について報告した.本症例の特徴は, 顔面口腔領域に麻痺がないにも関わらず, 基本的な口腔機能が未獲得な点であった.言語理解も遅れていたが, 5歳3ヵ月で3語文連鎖レベルに達しており, 日常的にはブロックサイン様の身振りで意志伝達を行うなど, 言語表出に比べて軽度であった.言語訓練として, 口唇・舌の基本的な運動と音節復唱の強化を行った.その結果, 約半年で発語器官の機能向上とプロソディーの改善が認められ, 意思伝達手段として音声言語を使用するにいたった.同時に, 言語理解面も向上が認められた.本症例のように, 口腔機能障害を有する言語発達遅滞児に対しては, 発語器官への系統的な訓練が有効であると考えられた.

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© 日本音声言語医学会
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