音声言語医学
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人工内耳を装用した先天性重度難聴幼児の構音獲得
大森 千代美傍士 和香野中 信之森 望川野 通夫
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2001 年 42 巻 1 号 p. 17-23

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抄録

幼児期後半に人工内耳を装用した先天性重度難聴男児2例について, 装用後1年間の構音の自然習得過程を検討した.症例1は術前の言語発達は暦年齢相応, 人工内耳装用開始5歳11ヵ月.症例2は術前言語発達が遅れていた.人工内耳装用開始4歳5ヵ月.2例の術前と術後1年間の自由遊び場面を録画したビデオテープから, 発話された順に有意味語100語を国際音声記号で表記し子音の変化を検討した結果, 以下のことが分かった. (1) 2例の構音獲得の経過には共通した傾向があり, 構音点からみると両唇音, 硬口蓋音, 硬口蓋歯茎音の順に獲得し, 健常児の構音発達とほぼ同様の順序性がみられた.構音様式からみると, 装用後は鼻音, 有声破裂音, 無声破裂音の順に獲得した. (2) 構音獲得の速さは術前の言語発達によって2例で差がみられ, これは音声言語の体系化の進度と関連していると思われた.

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