音声言語医学
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42 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 高橋 宏知, 中尾 政之, 大草 武徳, 畑村 洋太郎, 菊池 彌太郎, 加我 君孝
    2001 年 42 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    本論文では, 電気式人工喉頭および口腔内原音発生振動子を用いた音声をより自然にするために, 音声ピッチの制御を試みた.特に, 指圧入力に注目し, それを用いた制御方法を検討した.制御方法としては, (1) 指圧から基本周波数を一意に決定する直接制御方法と, (2) 指圧を「声立て」と「アクセント」に関する二値的な指令に変換した後に, それらの指令から音声ピッチを決定する二値制御方法とを試みた.また, これらの方法と比較するために, (3) 従来の呼気圧から基本周波数を一意に決定する直接制御方法も試みた.実験では, 無喉頭者に, それぞれの制御下で発声させ, 音声ピッチ変化の自然性を評価した.その結果, 指圧二値制御 (2) は, 指圧直接制御 (1) よりも優れ, 呼気圧直接制御 (3) と同等に自然なピッチ変化を実現した.指圧二値制御は, 利用に際して形態によらず誰でも簡便に利用できる点で, 呼気圧直接制御よりも実用的かつ有用的である.
  • 西尾 正輝, 新美 成二
    2001 年 42 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    Dysarthria患者115例を対象として発話明瞭度について検討し, 以下の知見を得た.
    1.発話明瞭度が中等度レベルの症例では単語明瞭度の方が単音節明瞭度よりも上回り, 重度例ではむしろ単音節明瞭度の方が上回る傾向がみられた.このことから, 単音節明瞭度と単語明瞭度は発話の中でも若干異なる側面を反映しているものと考えられた.
    2.AACシステムを必要とするのは, 単音節および単語明瞭度ではともに約20~30%前後, 会話明瞭度では3.5程度であった.
    3.タイプ別分析からは, 失調性とUUMN dysarthriaでは発話明瞭度が高く保持されるためAACのニードは低く, 痙性, 弛緩性, 混合性dysarthriaでは発話明瞭度が低くAACのニードが高かった.
    以上の結果に基づいて, dysarthriaにおける発話明瞭度の臨床的意義について検討を加えた.
  • 大森 千代美, 傍士 和香, 野中 信之, 森 望, 川野 通夫
    2001 年 42 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    幼児期後半に人工内耳を装用した先天性重度難聴男児2例について, 装用後1年間の構音の自然習得過程を検討した.症例1は術前の言語発達は暦年齢相応, 人工内耳装用開始5歳11ヵ月.症例2は術前言語発達が遅れていた.人工内耳装用開始4歳5ヵ月.2例の術前と術後1年間の自由遊び場面を録画したビデオテープから, 発話された順に有意味語100語を国際音声記号で表記し子音の変化を検討した結果, 以下のことが分かった. (1) 2例の構音獲得の経過には共通した傾向があり, 構音点からみると両唇音, 硬口蓋音, 硬口蓋歯茎音の順に獲得し, 健常児の構音発達とほぼ同様の順序性がみられた.構音様式からみると, 装用後は鼻音, 有声破裂音, 無声破裂音の順に獲得した. (2) 構音獲得の速さは術前の言語発達によって2例で差がみられ, これは音声言語の体系化の進度と関連していると思われた.
  • ―術前後の音声機能の比較による研究―
    野崎 智嗣, 溝尻 源太郎, 柴 裕子, 木西 實
    2001 年 42 巻 1 号 p. 24-32
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    喉頭微細手術の効果を評価するための最小限で十分な検査指標を得るため, ポリープ様声帯43例, ポリープ49例, 結節16例について, 術前後の聴覚心理的評価, 音響分析, 空気力学的検査を行いその結果を比較した.術前の音声機能は, 病変が高度であるほど悪化していた.手術により3疾患とも多くの指標が有意に改善した.術後の3疾患の比較では聴覚心理的評価のみに差がみられた.ポリープ様声帯とポリープの音声の特徴は病変の存在そのものによる影響と考えられた.結節ではさらに過緊張性の発声習慣も音声に影響していた.GRB尺度, NNEbが術後正常域に入ったのは各疾患とも概ね半数以下の症例であった.手術の効果と限界が示され, 手術手技の進歩と適切な手術適応の確立が求められた.
  • ―その聴覚的評価を中心に―
    鈴木 弥生, 加我 君孝
    2001 年 42 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    両側の側頭葉聴覚皮質損傷は, 「皮質聾」ないし「聴覚失認」と呼ばれる特有の病態を惹き起こす.しかし, こうした症例に関する詳細な報告, 特に小児例は非常に乏しい.
    われわれはヘルペス脳炎による聴覚失認の1例を経験したので報告する.現在17歳の女児, 生後6ヵ月時にヘルペス脳炎に罹患した.3歳時より音に対する無関心を指摘されている.現在は左半身中心の不全麻痺, 顔面運動失行が残存している.頭部MRIT2強調像では, 両側の側頭葉上側頭回を中心とした高信号領域を認めた.聴覚検査上は, 聴性脳幹反応は潜時, 波形ともほぼ正常にもかかわらず純音聴力検査において平均59dBと中等度の閾値上昇が認められた.行動観察上は音の出るものや音楽に対する興味を示し, 環境音認知テストでは75%の正答率を示した.本症例は言語獲得前に聴覚失認が起こったため, 言語発達は著しく障害され, 視覚的材料を用いても言語の獲得は困難であった.
  • 2001 年 42 巻 1 号 p. 43-99
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
  • 2001 年 42 巻 1 号 p. 100
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
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