Dysarthria患者115例を対象として発話明瞭度について検討し, 以下の知見を得た.
1.発話明瞭度が中等度レベルの症例では単語明瞭度の方が単音節明瞭度よりも上回り, 重度例ではむしろ単音節明瞭度の方が上回る傾向がみられた.このことから, 単音節明瞭度と単語明瞭度は発話の中でも若干異なる側面を反映しているものと考えられた.
2.AACシステムを必要とするのは, 単音節および単語明瞭度ではともに約20~30%前後, 会話明瞭度では3.5程度であった.
3.タイプ別分析からは, 失調性とUUMN dysarthriaでは発話明瞭度が高く保持されるためAACのニードは低く, 痙性, 弛緩性, 混合性dysarthriaでは発話明瞭度が低くAACのニードが高かった.
以上の結果に基づいて, dysarthriaにおける発話明瞭度の臨床的意義について検討を加えた.
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