2002 年 43 巻 2 号 p. 117-124
Dysarthria患者115例を対象として発話機能と嚥下機能との関連性について検討した.発話機能の評価には単音節, 単語, 会話明瞭度を, 嚥下機能の評価にはX線透視検査とベッドサイドでの検査を実施した.この結果, 嚥下機能と各発話明瞭度との問に高い相関を認めた.また, dysarthriaにおける嚥下障害の合併率は, 主要な疾患別分析においても発症後経過月数別分析においても高かった.しかし, 嚥下障害の合併率と重症度の分布はdysarthriaのタイプによって大きく異なった.弛緩性, 痙性, 混合性dysarthriaではきわめて高率で嚥下障害を認め, 重度例を多く含んだ.対して, 失調性, 運動低下性, およびUUMN dysarthriaでは嚥下障害の合併率は比較的に低く, 中軽度例が多かった.また会話明瞭度と嚥下機能との相関はdysarthriaのタイプによって大きく異なった.以上の結果に基づいて, 嚥下障害を合併したdysarthriaに対する臨床的マネージメントについて検討を加えた.