音声言語医学
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一側性声帯麻痺による嗄声に対する音声治療の有用性
小川 宏和小林 丈二岡田 亜紀兵頭 政光
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2002 年 43 巻 3 号 p. 256-260

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抄録

一側性声帯麻痺3症例に対し, 嗄声の改善を目的としてプッシング法を主体とした音声治療を行った.その結果, 全例において発声時声門間隙の狭小化が得られ, 聴覚印象の改善も得られた.また, 自覚的にも「声の出しにくさ」や「発声時の疲労度」が軽減した.発声機能検査および音響学的検査では, 最長発声持続時間, AC/DC比, 平均呼気流率, shimmer, jitterの改善が全例で認められた.音声治療は長期にわたる治療が必要で, 治療前の発声時声門間隙が大きい例では十分な効果が得られにくいなどの問題点もあるが, 一側性声帯麻痺による嗄声に対して有効な治療法の一つになりうると考える.

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© 日本音声言語医学会
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