音声言語医学
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SLTA段階評価3と4の相違
―呼称と動作説明の成績から―
岩田 まな佃 一郎岩田 光児
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2003 年 44 巻 1 号 p. 23-29

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抄録

SLTAの段階評価3と4の違いを検討するために, 時間経過に伴って呼称と動作説明の得点がどのように変化していくか失語症重症度とタイプとの関係から検討した.
1) 失語症状が回復していく際, 段階3を経由 (10~15%) していくほうが, 4を経由する (2~4%) ものより多かった.2) 高得点に達した後, ときに得点が低下することがあるが, これは非流暢型の患者に多く, 発語失行のために段階4になる場合が多かった.したがって, 発語失行は改善しにくいと予測された.3) 段階3においても4においても患者の反応を吟味すると, 失語症タイプの特徴が表れており, 段階3, 4を質的に検討すれば失語症タイプの鑑別が可能だと考えられた.4) 重度の患者でも段階3や4に達していることがあり, 言語治療計画立案の際やコミュニケーションの代替手段を考えるうえで, 段階3, 4の得点が役立つと考えられた.

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