音声言語医学
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言語学習障害・読み書き障害
田中 裕美子
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2005 年 46 巻 2 号 p. 148-154

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抄録

近年, 米国では読み書き障害など高次レベルの言語の問題のために学習につまずいているものを言語学習障害 (language-based learning disabilities: LLD) と捉えて言語聴覚士が対応するようになっている.研究1で日本語のLLDのプロフィールを明らかにするために5症例と健常児 (50名) の課題成績を対比させたところ, (1) 読み書きの問題はかなのdecodingに顕著に現れ, (2) 背景要因のうち色名呼称速度や語想起よりは音韻意識などで健常児との差が大きく, 音韻能力障害を示唆した.研究2ではかなdecodingを評価するスクリーニングテストを通常学級在籍の2年生80名に実施したところ, ディスレキシア1名を含む4名 (5%) がLLDと判断された.ただ, 4名の読みの問題が多様であり読み書きの評価や指導の検討には音韻のみならず他の言語面や情報処理速度といった認知面についても考慮する必要がある.

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© 日本音声言語医学会
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