生涯スポーツ学研究
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特別寄稿
研究,生涯スポーツ,旅行
沖縄県における持続可能なスポーツツーリズム
Tom Hinch伊藤 央二
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 15 巻 2 号 p. 1-13

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抄録
ラグビーワールドカップ2019,東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会,ワールドマスターズゲーム ズ関西2021の開催を控え,国内ではスポーツツーリズムが脚光を浴びている.しかしながら,スポーツツーリズ ムはメガイベントのみに限られるものではない.スポーツツーリズムはメガイベントとは異なる規模や種類の スポーツの文脈でも見受けられ,大都市圏外での持続可能な地域発展の手段になる可能性を秘めている.本研 究では沖縄の現状を考察しながら,持続可能な地域発展の手段としてのスポーツツーリズムの活用について探索 する.最初に,スポーツツーリズムの概要を真正性といった利点と生涯を通したスポーツツーリズムの変化に 対する理解不足といった欠点から論じる.次に,スポーツツーリズムを持続可能な地域発展の手段として活用 する事例として,「スポーツアイランド沖縄」という観光キャンペーンを実施している沖縄県を取り上げる. 本研究では,半構造化インタビューをスポーツコミッション沖縄(SCO),沖縄観光コンベンションビューロ ー(OCVB),沖縄空手会館(OKK)の担当者に実施するとともに,各組織のホームページのレビューを行っ た.調査結果から,スポーツツーリズムの発展に関する戦略は,沖縄の持続可能な地域発展に繋がっていること が示唆された.本研究結果から示唆された沖縄県への提言として,(a)スポーツ経歴の異なるライフステージ をターゲットとした意識的なポートフォリオの作成,(b)SCO,OCVB,OKKの組織間を超えたマーケティン グや開発努力の調整,(c)プロスポーツ春季キャンプ等の際に指摘される地域スポーツ資源の飽和状態の解決 に向けた戦略開発,の3点が挙げられる.
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© 2018 日本生涯スポーツ学会
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