抄録
近年,メンタルヘルスの問題に対してWebページを用いたマインドフルネス・トレーニングが有効であるという報告がなされてきている。また,伝統的なマインドフルネスよりも取り組みやすい実践方法としてディタッチト・マインドフルネス(detached mindfulness: DM)があり,不安やうつ傾向を軽減させる効果がみられている。本研究において筆者らは,より多くの人が手軽に楽しみながらDMの考え方に触れられるよう,iPhoneアプリケーション「もやもや流し」を開発し,量的・質的な効果検証を通してゲーム性を持ったマインドフルネス関連アプリケーションの発展可能性を考察した。2週間のアプリ使用の事前事後の検証では精神的健康度の尺度得点には有意な変化がみられず,DMについての心理教育の改善が必要であると考えられた。また,アプリの視覚優位性とゲーム性は思考の外在化を促す可能性がある一方で,トレーニングの有効性を低める要因ともなると考えられた。