抄録
本研究の目的は,うつ病等の休職者を対象としたリワーク・プログラムにおいてマインドフルネス認知療法(MBCT)をベースとした「マインドフルネス講座」を実施し,その有効性とワーク・ライフ・バランスへの影響について検討することであった。マインドフルネス講座は,1回につき2時間の集団によるプログラムを計3回により構成した。本研究の参加者は17名であり,無作為に介入群(9名)と待機群(8名)に割当てて有効性の検討を行った。その結果,セルフ・コンパッションのポジティブ因子が向上し,身体的症状が軽減され,ワーク・ライフ・バランスの家庭の重要度が増した一方で,仕事への労力度が低下することが示された。また,各回における感想から,マインドフルネスの体験が参加者にもたらした変化について検討し,復職支援におけるマインドフルネスの意義と今後の課題について考察した。