抄録
マインドフルネスは社交不安を低減することが示されているが,その認知プロセスへの作用機序は不明瞭である。本研究は,マインドフルネス瞑想を構成する簡易的な集中瞑想と洞察瞑想の訓練が,特性・状態不安,注意制御,脱中心化に及ぼす影響を検討した。社交不安傾向のある20名の大学生・大学院生を対象として,集中瞑想群,洞察瞑想群,統制群に振り分けた。参加者は6日間の瞑想あるいは待機期間の前後で,オンラインの採用面接を模したオンラインのスピーチ課題に取り組んだ。この結果,洞察瞑想群では社交不安傾向が低下し,集中瞑想群では二回目のスピーチ課題で主観的な不安状態の低減と瞑想による効果を報告した参加者の割合が高かったが,注意制御と脱中心化には変化がみられなかった。二つの簡易的な瞑想トレーニングは特性的・状態的な社交不安に異なる影響を及ぼすことが示唆された。想定される瞑想の作用機序についての考察を行った。