抄録
ベルナール・スーリエ症候群は先天的に粘着に必要な血小板表面の蛋白が欠損しているため出血傾向が見られる疾患である. 今回, ベルナール・スーリエ症候0患者の歯科治療を経験したので報告する.
患者は22歳女性, 左上顎部の疼痛にて当院小児科より紹介され当科を受診した. 初診時, 口腔内に多数の齲歯, 多量の歯石沈着を認め, また全歯牙には重度歯周炎が見られ, ブラッシングで容易に出血する状態であった.
そこで, 血小板輸血後, 口腔衛生指導, 〓78の抜歯, 〓6の感染根管治療を行った. 歯石除去, 抜歯後止血が困難であり血小板輸血を追加した. 現在, 当科外来にて他の歯牙の治療を継続中であり, 口腔内の状態も改善してきており, ブラッシングによる出血も認められなくなった.
本例の治療経験から, 口腔清掃の重要性を理解させ継続させていくことが重要である思われた.