有病者歯科医療
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11 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 高木 純一郎, 宮田 勝, 岡部 孝一, 鈴木 円, 本多 光弘, 坂下 英明
    2002 年 11 巻 3 号 p. 147-153
    発行日: 2002/12/31
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    石川県立中央病院歯科口腔外科において入院加療を行った患者の既往歴に関する統計的観察を行った. 対象は, 1999年1月から2000年12月までの2年間に当科で入院加療を行った478人である. その内, 何らかの既往歴を有する患者は304人 (63.6%) であった. 平均年齢は52.5歳であった. 1人あたりの疾患数は平均2.0であった. 疾患別では循環器疾患が最も多く, 以下消化器疾患, 新生物の順であった.
    当科での疾患は嚢胞性疾患が最も多く, 以下炎症性疾患, 腫瘍性疾患, 外傷の順であった.
  • 和田 重人, 奥田 泰生, 古田 勲
    2002 年 11 巻 3 号 p. 155-160
    発行日: 2002/12/31
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    今回われわれは, 劣性栄養障害型先天性表皮水疱症 (RDEB) を有する53歳男性患者に対して口腔内の外科的処置を施したので, その治療概要を本稿において述べる. 患者は術前RDEBに起因する著しい開口障害と咀嚼困難を訴えていた. 患者の強い希望から口腔前庭拡張術を局所麻酔下に施行した. 術後の瘢痕形成を懸念して, 創傷治癒の早期より義歯の作製を開始した. 現在, 義歯装着してから10か月が経過するが, 義歯に接する口腔粘膜に水疱の形成は認められない. 患者は摂取可能な食物の種類が著明に増加したことに対し満足している.
  • 小嶋 由子, 栗田 浩, 酒井 洋徳, 小林 啓一, 倉科 憲治
    2002 年 11 巻 3 号 p. 161-165
    発行日: 2002/12/31
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    今回われわれは1990年6月から2000年9月までに当科を受診した肝移植患者について臨床統計的検討を行った. 対象は, 信州大学医学部付属病院第1外科にて肝移植を受けた肝移植患者66名 (男性23名, 女性43名) であった. 受診者は1~69歳と幅があったが, 10歳未満の割合が36%と最多であった. 術前に当科に紹介された患者の60%は術前1か月以内に当科を受診していた. 術後は患者の57%が術後半年以上経ってから受診していた. 受診理由として術前は術前スクリーニングが70%と最も多く, 術後は多岐にわたっていた. 治療内容は術前では抜歯, 保存修復処置, 口腔衛生指導等が多かった. 術後は抜歯, 保存修復処置, 補綴処置等, 多岐にわたっていた.
  • 戸嶋 慎一, 飯野 光喜, 福田 雅幸, 奈良 潤一郎
    2002 年 11 巻 3 号 p. 167-171
    発行日: 2002/12/31
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    非ステロイド系消炎鎮痛剤 (以下NSAID) は日常頻繁に投与されている薬剤であるが長期間の使用で重篤な副作用を認めることがある. NSAID投与による主な副作用の1つとして消化器障害が挙げられている. 本論文では短期間の使用で胃出血を引き起こしたNSAID潰瘍の1例の概要を報告する.
    患者は66歳の男性で, 主訴は疹痛と開口障害であった. 既往歴として30年前に胃潰瘍の治療を受けていた. 当科初診時の臨床診断は右側下顎智歯周囲炎に起因する右側頬部膿瘍であった. 入院後, 排膿処置による消炎処置と抗菌剤およびNSAIDを投与し症状は改善傾向にあった. しかし, 入院後7日目に突然吐血がみられ, 内視鏡下での止血処置および赤血球濃厚液6単位の輸血を施行した. 内視鏡検査では多発性の境界明瞭な潰瘍を認めNSAID潰瘍の特徴に合致した. その後, 患者は胃潰瘍の治療を受け, 入院後28日目に退院した. 現在, 経過観察中である.
  • 中塚 厚史, 小嶋 由子, 成川 純之助, 栗田 浩, 倉科 憲治
    2002 年 11 巻 3 号 p. 173-177
    発行日: 2002/12/31
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ベルナール・スーリエ症候群は先天的に粘着に必要な血小板表面の蛋白が欠損しているため出血傾向が見られる疾患である. 今回, ベルナール・スーリエ症候0患者の歯科治療を経験したので報告する.
    患者は22歳女性, 左上顎部の疼痛にて当院小児科より紹介され当科を受診した. 初診時, 口腔内に多数の齲歯, 多量の歯石沈着を認め, また全歯牙には重度歯周炎が見られ, ブラッシングで容易に出血する状態であった.
    そこで, 血小板輸血後, 口腔衛生指導, 〓78の抜歯, 〓6の感染根管治療を行った. 歯石除去, 抜歯後止血が困難であり血小板輸血を追加した. 現在, 当科外来にて他の歯牙の治療を継続中であり, 口腔内の状態も改善してきており, ブラッシングによる出血も認められなくなった.
    本例の治療経験から, 口腔清掃の重要性を理解させ継続させていくことが重要である思われた.
  • 玉置 盛浩, 今井 裕一郎, 館林 茂, 山中 康嗣, 川上 正良, 大儀 和彦, 桐田 忠昭
    2002 年 11 巻 3 号 p. 179-186
    発行日: 2002/12/31
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    今回われわれは人工弁置換術後で舌癌 (T3N0M0) と診断され, 舌部分切除術の周術期に活性化全血凝固時間 (ACT) を指標に, ヘパリン療法を施行したので報告する. 患者は66歳女性, 左側舌縁部潰瘍の精査目的にて当科を受診した. 既往歴として49歳時に僧帽弁閉鎖兼狭窄症, 三尖弁閉鎖不全症の診断で僧帽弁, 三尖弁置換術を受けている. 抗凝固療法としてワーファリンカリウム (ワーファリン®) 2.5mg/dayと塩酸チクロピジン (パナルジン®) 100mg/dayを内服していた. また, 心房細動を合併しており, 短時間の抗凝固療法の中断で人工弁に血栓形成の危険性があった.
    そこで手術7日前からワーファリンカリウムからヘパリンナトリウム変更し, 手術6時間前にヘパリンナトリウムを中止した. 術後2時間でヘパリンナトリウムを500単位/hrで再開し, その後にワーファリン3.0mg/dayで再開した. 周術期はACT130-150秒の範囲でヘパリンナトリウムを投与し, 出血や血栓もなく良好に管理した.
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