有病者歯科医療
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特発性血小板減少性紫斑病を有する頬部血管腫患者に対するγ-グロブリン大量療法下での手術経験
前田 亮矢郷 香岡田 豊中川 種昭朝波 惣一郎
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2005 年 14 巻 3 号 p. 217-222

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抄録
特発性血小板減少性紫斑病 (以下ITP) は, 血小板に対する自己抗体が出現し血小板減少をきたす疾患である. そのため, ITPを合併した患者の口腔外科手術に際しては, 周術期の止血管理が重要である.
今回われわれは, 特発性血小板減少性紫斑病を合併した72歳, 女性の頬部血管腫を経験したのでその概要について報告する.
患者の血小板数は術前29,000/μlと低下していたので, 術前にγ-グロブリンの大量療法 (400 mg/kg/日) を4日間施行した. 手術当日の血小板数は85,000/μlまで増加した. 手術後, 後出血もなく経過良好で, われわれはITPを合併した患者の手術を安全に遂行することができた.
ITP患者の口腔外科手術の際, 術前に迅速に血小板数の増加を計るためには, γ-グロブリン大量療法はとても有効な方法であると思われた.
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