抄録
発作性上室頻拍は, 心拍のリズムが突発的に毎分250程度まで急増する頻拍性不整脈である。今回我々は, 口腔内手術に際して実施した局所麻酔直後に発作性上室頻拍が発現した症例を経験し, 発作発現時の心電図所見ならびに対処法について報告した。
頻拍発作発現時における心電図の特徴から, 本症例に発現した頻拍は房室結節回帰性頻拍と診断した。頻拍停止のために機械的迷走神経刺激, ジアゼパムやプロプラノロールおよびATPの静注を実施した。ATPの投与後1分以内で頻拍は停止した。発作性上室頻拍の発現に際して, 頻拍停止のために投与すべき薬剤としてはATPを第一選択すべきと考えられた。