有病者歯科医療
Online ISSN : 1884-667X
Print ISSN : 0918-8150
ISSN-L : 0918-8150
3 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 武田 元一, 宗川 勝彦, 川嶋 剛史
    1994 年3 巻2 号 p. 1-7
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1993年2月左側上顎洞内に大きな濾胞性歯嚢胞を伴った18才の女性が紹介来院した。入院時, 左側の上顎部の腫脹と疼痛以外全身的には異常は認められなかったので1993年3月1%キシロカイン (エビネフリン添加) 浸潤麻酔下に摘出術を行った。最終縫合時に発作性頻脈 (160回/分), CG上著明なSTの低下, 収縮期血圧220mmHg, 心雑音が発症した。酸素吸入, β-blocker, 冠拡張薬の投与を行い, 主症状が改善し, 術翌日には異常な心雑音も消失した。術後のエコーにてADSが発見された。
  • 関連診療科の立場より
    瀧田 正亮, 西川 典良, 西山 知英, 高田 静治
    1994 年3 巻2 号 p. 8-13
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    当科に受診した糖尿病患者 (保存, 補綴治療の対象例を除く) のうち, 糖尿病合併症・併発症のみられた症例を集計し, 口腔外科の立場より検討を行った。対象例は20例で, 口腔疾患の内訳は歯根襄胞 (7例) が最も多く, 口腔癌 (3例), 歯周炎 (3例), エプーリス (2例), 唾石症 (2例) などであった。合併症・併発症については, 延べ件数でみると, 高血圧症などの循環器疾患 (8例), 網膜症などの眼疾患 (失明2例を含む9例), C型肝炎 (5例) や肝硬変などの肝疾患 (4例) が多く, 関連各科との円滑な連携による包括医療の必要性が示された。また, 有病者歯科医療の向上のためにも, 予防歯科医学的アプローチが必要であることを述べ, さらに糖尿病合併症・併発症の複合化に即した疾病統計法の検討が必要であることを提起した。
  • 遠藤 裕一, 中田 伸一, 安川 和夫, 柴田 肇, 須永 芳弘, 小林 千晃, 浅野 智, 吉澤 信夫
    1994 年3 巻2 号 p. 14-19
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1993年に行った山形県内各地の特別養護老人ホームにおける訪問歯科診療について検討した。
    1) 調査対象は98名で男性26名, 女性72名であった。
    2) 98%の人が全身的合併症を有しており, その内容では脳梗塞や脳出血などの脳血管系疾患が多くを占めた。また2つ以上の疾患を合併している人は73.5%におよんだ。
    3) 93%の人が常用薬剤を服用していた。その内容では脳代謝, 循環改善剤が多かった。
    4) 食事動作で介助を要するもののほとんどが, 脳血管系疾患を合併していた。
    5) 処置内容では残根状歯牙の鋭縁を削除したものが多く歯内療法は極端に少なかった。
    6) う蝕歯率は58.1%であり, このうち残根状歯牙の占める割合は66.2%であった。
  • 柴田 肇, 吉澤 信夫
    1994 年3 巻2 号 p. 20-25
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    発作性上室頻拍は, 心拍のリズムが突発的に毎分250程度まで急増する頻拍性不整脈である。今回我々は, 口腔内手術に際して実施した局所麻酔直後に発作性上室頻拍が発現した症例を経験し, 発作発現時の心電図所見ならびに対処法について報告した。
    頻拍発作発現時における心電図の特徴から, 本症例に発現した頻拍は房室結節回帰性頻拍と診断した。頻拍停止のために機械的迷走神経刺激, ジアゼパムやプロプラノロールおよびATPの静注を実施した。ATPの投与後1分以内で頻拍は停止した。発作性上室頻拍の発現に際して, 頻拍停止のために投与すべき薬剤としてはATPを第一選択すべきと考えられた。
  • 柳谷 謙一, 菊地 茂, 牛嶋 達次郎, 堤 美代子, 小林 真巳, 高戸 毅
    1994 年3 巻2 号 p. 26-31
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    筋緊張性ジストロフィーは骨格筋, 平滑筋, 心筋, 内分泌, 中枢神経での障害を示す常染色体優性遺伝のまれな疾患であり, 本疾患患者の全身麻酔ではさまざまな問題点が指摘されている。
    今回我々は, 本疾患を合併した患者に発生した耳下腺腫瘍の全身麻酔下切除を経験したので, その概要, 経過について報告する。
    麻酔はミダゾラム, GOSにて緩徐導入し, 筋弛緩剤を用いず気管内挿管を行い, GOIで維持した。術中経過は異常なく覚醒, 抜管も順調であったが, 翌朝まで酸素吸入および血中酸素飽和度モニタを行った。創傷治癒は順調で1年2か月経た現在, 局所再発, 神経障害の後遺は認めない。筋緊張性ジストロフィーは全身性にさまざまな障害をきたしているため, 術前の患者病態評価が必要がある。
feedback
Top