筋緊張性ジストロフィーは骨格筋, 平滑筋, 心筋, 内分泌, 中枢神経での障害を示す常染色体優性遺伝のまれな疾患であり, 本疾患患者の全身麻酔ではさまざまな問題点が指摘されている。
今回我々は, 本疾患を合併した患者に発生した耳下腺腫瘍の全身麻酔下切除を経験したので, その概要, 経過について報告する。
麻酔はミダゾラム, GOSにて緩徐導入し, 筋弛緩剤を用いず気管内挿管を行い, GOIで維持した。術中経過は異常なく覚醒, 抜管も順調であったが, 翌朝まで酸素吸入および血中酸素飽和度モニタを行った。創傷治癒は順調で1年2か月経た現在, 局所再発, 神経障害の後遺は認めない。筋緊張性ジストロフィーは全身性にさまざまな障害をきたしているため, 術前の患者病態評価が必要がある。
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