1979 年 20 巻 3 号 p. 220-226
皮膚カンジダ症42例から分離された42株のカンジダを生物学的同定法と血清学的同定法を用いて同定し, 両者を比較検討して次の結果を得た. 血清学的同定法では42株中31株 (74%) が同定でき, 生物学的同定法では42株中39株 (93%) が同定できた. 前者において自発凝集を示した株を除くと34株中31株 (91%) が同定でき, 後者の結果とほぼ同じ同定率を示した. 両者の成績が一致した株は, 42株中26株 (62%) にすぎなかつたが, 血清学的同定法において同定ができた31株に限れば両者の一致率は84%であつた. C. albicans の同定における両者の一致率は, 自発凝集などで同定できなかつた株を除けば, 25株中24株 (96%) と高い値を示した. また厚膜胞子陽性株でありながら, 血清学的同定では C. albicans ではないなど両者で若干のくい違いがみられるため, カンジダチェックによる C. albicans の同定には, その手技に熟練した上, 厚膜胞子検出法 (陽性率81%) との併用がのぞましいと考える.