抄録
経口投与による ketoconazole (KCZ) の in vivo 感染治療効果を検討した結果, KCZは系統感染系, 局所感染系をとわず優れた治療効果を示した. (1) マウスのC. albicans 系統感染に対し, KCZ治療群は, 5-FC治療群に比べ低い生存率を示した. しかし腎内残存生菌数を求めた結果, KCZ 160mg/kgを1日1回14日間投与した群は腎内より菌をほぼ完全に陰性化したのに対し, 5-FC投与群では, 腎内より菌が消失することはなかつた. (2) モルモットの実験的白癬に対し, KCZ は高い治療効果を示した. 菌接種48時間後より1日1回14日間の治療でKCZ 10~40mg/kg 投与群および griseofulvin (GRF) 20mg/kg 投与群で明らかな皮膚病変の改善および逆培養陽性率の低下が見られた. KCZ 10mg/kgおよび 20mg/kg投与群とGRF 20mg/kg投与群がほぼ同等の治療効果を示した. (3) ラットの実験的腟カンジダ症に対し, KCZは prophylactic test, therapeutic testとも, 菌接種11日目以後において, 5mg/kg以上の経口投与で腟内の菌を完全に陰性化した. 一方5-FCは, いずれの投与量においても腟内より菌を完全に陰性化することはなかつた.