超音波医学
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総説
急性腹症の超音波診断
本田 伸行
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2006 年 33 巻 5 号 p. 541-552

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抄録

急性腹症をきたす疾患は消化器だけではなく, 血管, 泌尿器および産婦人科領域など多岐にわたるため, 各領域の幅広い知識が要求される. しかも, 痛みの種類, 臨床経過, 理学的所見などを総合して可能性のある病態を予測し, 短時間で確実に異常所見を拾い上げなければならない. 急性腹症をきたす疾患のほとんどが超音波検査 (US) で何らかの異常所見を示すが, 異常所見と診断名を対応させることのできないことも多く, 異常所見をあるがままに記録し, 報告することが重要である. 本総説では急性腹症のUSに際して最も強調したい以下の事項について, 代表的症例を呈示して解説した. 1) 診断名を付けることが目的ではない (異常所見を確実に拾い上げる), 2) 検査目的を把握し, 被検者をよく観察する, 3) 痛い部位は何処ですか? (腹痛直下をじっと観察する), 4) USの利点は繰り返し施行できること, 5) まず腹水の有無を確認する―FASTの応用―, 6) 周囲との位置関係, 連続性の確認, 7) 腸液貯留と腸管壁肥厚を見落とさない, 8) 腸閉塞はUSで確認する, 9) 絞扼性イレウスは臨床症状とUSが重要, 10) 閉鎖孔ヘルニアは画像診断が決め手, 11) 産婦人科救急疾患の大半は急性腹症である.

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© 2006 一般社団法人 日本超音波医学会
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