超音波医学
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総説
造影超音波法による泌尿器診断の進歩
沼田 功
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2006 年 33 巻 5 号 p. 565-574

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抄録

超音波造影剤は二酸化炭素を用いた自家製造影剤を動注して使用していたが, ガラクトースを用いた造影剤 (Levovist®) が市販されるとともに静注による造影が主流となり, 肝臓を始め様々な分野で利用されている. 泌尿器科領域でも腎臓, 膀胱, 前立腺, と各臓器に利用され有用性が報告されている. 腎臓では細い正常血管を造影して腎機能の評価に利用し, 太い血管病変の診断にも利用されている. さらに腫瘍性病変の広がり, 良性・悪性の鑑別診断に応用され, 血液透析患者への利用のしやすさと有用性も報告されている. 腎盂尿管腫瘍ではカラードプラのみでは血流状態を描出できなかったが, 造影剤を使用することで血流分布や腫瘍自体の造影も可能になっている. 膀胱癌では腫瘍の存在診断とともに腫瘍を造影することで壁への浸潤度判定にも利用されている. また, 超音波造影剤による膀胱尿管逆流症の診断はヨード造影剤を用いた排尿時膀胱尿道造影での判定と同等の感度, 特異度が見られる. 前立腺癌の造影超音波診断では腫瘍部位の明瞭化が見られ, 感度の上昇が見られる. しかし, 早期前立腺癌には数mmの小さな腫瘍部位も多く, 特異度の上昇は得られていない. 今後, 造影剤を有効に使用することで生検の部位を少なくして陽性率を高めることが期待される.

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© 2006 一般社団法人 日本超音波医学会
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