超音波医学
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特集
超音波解剖と走査法の工夫を中心に
榎 真美子石田 秀明小松田 智也渡部 多佳子八木澤 仁
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2007 年 34 巻 3 号 p. 305-311

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抄録
この章では,まず膵の解剖学的位置関係,特に周囲脈管系との関係を述べ,次いで,膵超音波検査で伝統的に用いられてきた走査法に,そして最後に我々が推奨する走査法の工夫について解説する.通常の走査法では,一断面で膵全体を観察するのは困難で,幾つかの走査面を組み合わせざるを得ない.大まかには,次の4走査法が中心となる.a)上腹部横走査:脾静脈を指標として膵頭体部を観察する.b)上腹部矢状走査:この断面では腹腔動脈と上腸間膜動脈に挟まれた膵が見える.これらは全て呼吸性に移動する.c)右上腹部斜走査:門脈本幹を指標にその腹側の頭部と背部の釣部を観察するのに適している.d)左上腹部斜走査:脾動静脈を指標にその腹側の膵尾部を観察するのに適している.我々は,走査法の工夫として,1)プローブを回転させる(回外運動),2)船頭の船こぎ様に手首を背屈させる(背屈運動),3)たすきがけの様に,膵尾部を見る時は頭部に,頭部を見る時は尾部に,プローブを移動させ,目的箇所を斜めに観察する.4)必要に応じ,プローブを円弧状に移動させるなど,1)‐3)を組み合わせたり変法を加える.なお,今まで引水法や体位の変換を推賞しているテキストもあったが,被検者にかかる負担が大きく,その割に効果がなかったのであまりお薦め出来ない.
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© 2007 一般社団法人 日本超音波医学会
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