超音波医学
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特集「腹部検診エコー」
腹部超音波検診の装置について:活用可能な周辺技術を中心に
渡部 多佳子石田 秀明小松田 智也古川 佳代子長沼 裕子
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2008 年 35 巻 5 号 p. 539-543

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抄録
腹部超音波集検は“mass-screening”の一環として行われることが多い.この20年超音波工学の進歩は目覚しいが,この進歩が集検用の装置に改革をもたらしたことは無く,安価な装置でなされてきた.やはり,精度向上のため,我々の腹部超音波集検用装置についての認識もそろそろ変えなくてはいけない時期になっているのではないだろうか.この目的に沿っていると思われる幾つかの技術をここで述べる.1)音速補正法:超音波画像作成のための現行装置が使用している〔体内の音速伝播速度は一定である〕非現実的過程を補正する試みである.伝播時間から対象までの距離を算出する際の仮定伝播速度を変化させる方式では,距離方向の画質向上が期待出来る.一方,超音波を幅広い“zone”で放射し多数の素子で反射信号を受信,その整合性を検討する方式(zone sonography)では方位分解能の向上が期待出来る.2)視野角可変方式:Trapezoid scanningに見られるように視野角を変化させることで解剖学的オリエンテーションがつきやすくなる.3)装置の小型化:コンピューター技術の進歩に伴い可能とはなるが,画質の劣化や操作性の低下は避ける必要がある.4)3D:3Dは位置認識が正確となり急速に普及してきた.これにより,多方向からの検討や正確な測定が容易となりつつある.まとめ:以上のような技術の取り込みも超音波集検用装置にとって考慮すべき時期となっている.
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© 2008 一般社団法人 日本超音波医学会
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