超音波医学
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総説
血液透析患者のバスキュラーアクセス管理における超音波の有用性
能登 宏光能登 彩
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2008 年 35 巻 6 号 p. 641-661

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抄録
透析に用いるバスキュラーアクセスを,適確に作製して長期間維持することは,透析患者のQOLにとって重要な課題である.超音波検査は簡便で非侵襲的であり,バスキュラーアクセスを,血管内腔や壁などの形態と,血流速度,血流量,血流波形などの機能の,両面から評価することが出来る.術前のBモード法による動・静脈マッピングは,良好なバスキュラーアクセスを作製する上で有用である.術後はBモード法やカラードプラ法により,バスキュラーアクセスの狭窄,血栓,血管瘤などを診断することが出来る.パルスドプラ法では,血流パターンの観察,血流速度や血流量の測定などができ,血行動態の評価に有用である.また,Resistance index(RI)や血流量の測定から狭窄を早期に診断し,血栓性閉塞を来す前に狭窄部のPTAを行うことにより,バスキュラーアクセスの開存期間の延長を図ることが出来る.VOLモード法による三次元表示や,Bモード画像とパワードプラ3D画像を合成して表示するFusion 3Dなどの新しい検査法も,バスキュラーアクセスの客観的評価に有用である.また,中心静脈へのバスキュラーカテーテル留置時や,穿刺困難例での穿刺時のモニターにはBモード法が,インターベンション治療の適応決定や術中モニターには,Bモード法やカラードプラ法が有用である.
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© 2008 一般社団法人 日本超音波医学会
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