超音波医学
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総説
膵疾患のInterventional Endoscopic Ultrasound (EUS)
北野 雅之坂本 洋城工藤 正俊
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2008 年 35 巻 6 号 p. 663-670

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抄録
リニア・コンベックス型EUS装置は,鉗子口から出てきた穿刺針を超音波画面にて確認することが出来ることから,超音波ガイド下の穿刺生検および治療に使用することが可能である.最近,このEUSガイド下穿刺を用いた診断および治療は,Interventional EUSとして多様な目的に応用されている.EUSガイド下穿刺生検は,経消化管的に膵あるいは周辺のリンパ節を穿刺生検することにより,膵の腫瘍性病変の鑑別診断,病期診断に使用される.EUSガイド下腹腔神経叢ブロック術は,膵癌に伴う疼痛に対して胃体部から腹腔動脈基始部周辺へエタノールを注入する治療であるが,穿刺経路が短く,リアルタイムに観察出来る点で,従来の後方からのブロック術と比較すると安全かつ確実に行える方法と考えられている.リニア・コンベックス型EUSは,ドプラ機能を搭載しているため,経消化管的膵仮性嚢胞ドレナージ術時おいて,穿刺経路に血管が存在していないことを確認することが可能であり,出血などの偶発症の危険性を少なくすることが出来る.その他,ERCPによる経十二指腸乳頭的治療が困難な閉塞性黄疸あるいは慢性膵炎患者に対して,EUSガイド下で胆管あるいは膵管を穿刺し,ステントを挿入する治療などが報告されており,Interventional EUSは今後も新しい治療法に応用されることが期待されている.
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© 2008 一般社団法人 日本超音波医学会
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