超音波医学
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総説
全体的な心機能評価と局所心機能評価をどのように使い分けるか
中谷 敏
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2009 年 36 巻 2 号 p. 165-173

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抄録

全体的な心機能を見る目的は,いわゆる心臓全体の活きのよさを把握することであり,(1)疾患の重症度を知りたい時,(2)手術適応を決めたい時,(3)心疾患の予後を知りたい時,(4)治療に対する反応を見たい時などが考えられる.一方,局所機能については,(1)疾患罹患部位の活きの良さを見たい時,(2)虚血心に対するバイパス術やカテーテルインターベンション前後,(3)拡張型心筋症に対するβ遮断薬投与前後など治療効果を見たい時などであろう.いずれの評価にも沢山の指標があるが,勿論その使い分けに決まったルールがあるわけではなく,目的に応じて選択すればよい.日常臨床では,疾患の重症度を知り,その予後を推定するために全体的機能を評価し,虚血を診断する際に局所機能を見ることが多いと思われる.一般に,局所機能を評価する方が全体機能を評価するよりも鋭敏に疾患を捉えることが出来るはずである.したがって,疾患重症度をうまく反映する局所とその指標を選べば,全体機能に異常が出るのに先駆けて出現する局所機能異常を捉えることも出来るであろう.最近,手軽に使えるようになった心筋ストレインにはそのような意義があるのではないかと考えている.

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© 2009 一般社団法人 日本超音波医学会
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