超音波医学
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原著
肝細胞癌ラジオ波焼灼療法の焼灼範囲とSonazoid造影超音波後血管相(Kupffer phase)におけるmicro bubble崩壊距離との関係
高橋 政義飯田 和成和久井 紀貴高山 竜司塩澤 一恵住野 泰清
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2011 年 38 巻 6 号 p. 637-646

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抄録
目的:肝細胞癌(hepatocellular Carcinoma: HCC)患者において,Sonazoid®造影超音波後血管相(Kupffer phase)の肝実質内micro bubble(MB)に高音圧超音波ビームを照射した際の崩壊距離と,ラジオ波焼灼療法(radio frequency ablation: RFA)における焼灼範囲を比較しその関係を明らかにする.対象:2008年1月から2009年12月までの間にCool-tip 20 mm針でRFA単独治療を行ったウイルス性慢性肝疾患を伴うHCC48症例48結節.方法:RFA施行前にSonazoid®造影超音波検査を施行.造影開始10分後の後血管相(Kupffer phase)において,flash-replenishment sequenceで肝右葉のMBを崩壊させ,肝表面からの崩壊距離を測定した.その後,RFA治療を行い,治療後の造影CTで焼灼範囲を測定し崩壊距離と比較した.さらに,治療前の各種肝線維化マーカーと崩壊距離を比較した.結果:崩壊距離が深くなるに従い,RFA焼灼範囲は有意に狭くなった(P=0.0001).また,IV型コラーゲン 7SはMB崩壊距離が深くなるに従い,有意に増加し,崩壊距離に肝線維化が関与している可能性が示唆された.結論:Sonazoid®造影超音波の後血管相(Kupffer phase)におけるMB崩壊距離が深くなればなるほど,RFA焼灼範囲は狭くなることが判明した.RFAの術前に焼灼範囲を推測する方法として有用と考える.
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© 2011 一般社団法人 日本超音波医学会
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