抄録
目的:肺癌診断において以前より超音波誘導下経胸壁生検の有用性が報告されているが,カラードプラ法により病変内の血流を評価することでより安全かつ確実に検査を実施することが可能と考えられる.そこで経胸壁超音波にて描出可能であった胸腔内病変に対し,本法を併用し超音波誘導下生検を施行しその有用性と安全性について検討した.対象と方法:胸腔内病変を有する50例の患者を対象とし,カラードプラ法を併用した超音波誘導下経胸壁生検を施行した.方法は,病変を経胸壁超音波で描出し,カラードプラ法にて病変内の血流を評価し,(1)できるだけ胸壁に近い部位,(2)太い血管を避ける部位,(3)血流の存在する部位,を穿刺目標と設定し生検を施行し病理診断と最終臨床診断を比較した.結果と考察:全50例中,診断に十分な検体が採取されたのは49例(98.0%),そのうち病理検査で悪性所見陽性は37例(75.5%)で最終臨床診断もすべて悪性であった.他の12例(24.5%)は悪性所見陰性であったが,最終臨床診断ではそのうち1例(9.1%)が悪性であった.合併症は血痰1例,気胸1例のみであり,いずれも軽症であった.結論:経胸壁超音波で描出可能な胸腔内病変において,カラードプラ法を併用することにより安全かつ確実に超音波誘導下経胸壁生検を実施できることが示唆された.