超音波医学
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総説
大動脈弁狭窄症の重症度評価 ‐弁口面積と圧較差がくい違ったら?‐
林田 晃寛玉田 智子尾長谷 喜久子大倉 宏之吉田 清
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2013 年 40 巻 5 号 p. 473-483

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抄録
大動脈弁狭窄症(aortic stenosis: AS)は,重症であれば即大動脈弁置換術の適応というわけではなく,低左心機能でない限り症状が出現してから手術適応となる.大動脈弁通過血流速度は予後と相関するため,大動脈弁狭窄症の重症度評価は,心エコー図法の連続波ドプラによる大動脈弁通過血流速度から求められた圧較差を中心に,プラニメトリ法や連続の式による大動脈弁口面積評価が行われる.大動脈弁通過血流速度から得られた圧較差と計測された大動脈弁口面積に差が生じるのは,計測誤差の場合と,心拍出量が増加しているか低下している場合である.計測誤差を最小限にするためには,大動脈弁通過血流の方向と水平に連続波ドプラを当てることが重要である.心拍出量が低下すると重症であっても,圧較差が大きくならない場合があり,low-flow, low-gradient ASと呼ばれ左心機能が低下している例と保たれている例がある.左心機能が低下している例では,ドブタミン負荷で心拍出量を増加させ,真の重症ASと偽性重症ASを鑑別する.左心機能が保たれている例は,重症ASを見逃す可能性もあり,近年注目されている疾患群である.
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© 2013 一般社団法人 日本超音波医学会
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