超音波医学
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総説
整形外科領域の超音波エラストグラフィ
皆川 洋至
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ジャーナル 認証あり

2013 年 40 巻 5 号 p. 485-494

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抄録
筋は,運動器構成体の中で唯一能動的に硬さを変えながら機能し,日常生活やスポーツ活動に大きく関わる組織である.整形外科臨床においては,筋の廃用性萎縮によって生じる転倒,オーバーユースを基盤に生じる肉ばなれ,腱断裂,腱炎,腱鞘炎,さらに筋による関節の衝撃干渉作用低下が引き起こす疲労骨折など様々な疾患の病態に深く関わる.筋の硬さを客観的に定量評価する臨床的意義は大きく,これまで触診,関節可動域,筋硬度計によって評価が試みられてきた.しかし,触診は客観性に乏しく,関節可動域は必ずしも筋の硬さを反映せず,筋硬度計は皮膚表面から深部全体の硬さしか表現できない欠点があった.一方,超音波エラストグラフィでは筋の硬さを客観的に可視化して表現できるため,近年様々な基礎研究,臨床応用が始まった.筋が極端に硬くなるコンパートメント症候群は,筋内圧の著しい上昇が引き起こす疾患であり,ときに重篤な後遺障害を残す.一般に針を直接筋へ刺入し内圧を測定して診断するが,超音波エラストグラフィでは非侵襲的に筋の硬さを評価でき,鍼治療や筋膜切離による除圧効果の確認,術後の経時的評価にも威力を発揮する.超音波エラストグラフィは,疾患の診断や病態把握,治療効果判定ばかりでなく,傷害の予防にも役立てる試みがなされている.
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© 2013 一般社団法人 日本超音波医学会
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