2014 年 41 巻 3 号 p. 353-365
臨床で唯一使用可能な超音波造影剤Sonazoid®(以下,Sonazoid®)が,乳房腫瘤性病変に対して2012年8月より保険適応となった.現状では,臨床応用は十分に広がっておらず,標準的なプロトコールや診断基準も確立されていない.乳房造影超音波の手法や観察のポイントについてコンセンサスを得ていく必要がある.これまでの臨床経験や文献を踏まえて,肝臓と乳房に対するSonazoid®造影超音波の違い,乳房造影超音波検査の方法や造影所見の評価についての私見を述べた.また,Sonazoid®造影超音波の良悪性の鑑別診断や,乳癌の広がり診断,セカンドルックultrasonography,乳癌薬物療法の効果判定に対する有用性について症例を提示しながら,今後への期待について述べた.