2014 年 41 巻 6 号 p. 845-851
目的:腸管虚血における超音波造影剤Sonazoid®を用いた造影超音波の有用性を明らかにする.方法:対象は2007年3月から2009年2月の間に腹痛を訴え,かつ超音波Bモード上で2.5 cm 以上の腸管の拡張(n=40)または1分間に5回以下の蠕動の低下(n=13)を認めた53例,ならびに基礎疾患に心血管病変を有し,かつ説明困難なアシドーシスを呈することから腸管虚血が疑われた12例である(のべ65例,男性35例,女性30例,平均年齢70.4±16.1歳).Sonazoid®をワンショットで静注した後に,低音圧ハーモニックイメージングで再度観察し,腸管壁の染影態度を正常あるいは減弱に分類した.確定診断は手術(n=30),剖検(n=6),内視鏡検査(n=3),腹部血管造影検査(n=1),経過観察(n=25)により総合的に行った.結果:造影超音波上で腸管壁染影態度を正常と判断した50例全例を腸管虚血無しと最終診断した.染影態度を減弱と判断した15例のうち,14例で腸管虚血有りと最終診断した.感度は100%(95% 信頼区間(CI)80.7‐100%),特異度は98%(95% CI 89.5‐99.9%),陽性予測値は93%(95% CI 68.1‐99.8%),陰性予測値は100%(95% CI 94.1‐100%)であった.結論:超音波造影剤Sonazoid®を用いた造影超音波は,腸管虚血の診断において感度と特異度のきわめて高い画像診断法であり,臨床上有用である.