超音波医学
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総説
ストレインエコーの使い方
中西 弘毅福田 祥大尾辻 豊
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2016 年 43 巻 3 号 p. 417-426

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抄録
ストレイン心エコー図法は心臓の局所および全体の機能を客観的,定量的に評価する方法として急速な発展を遂げてきた.ストレインは組織ドプラ法または,二次元スペックルトラッキング法によって得ることができる.ストレインエコーに基づく定量的評価は,虚血性心疾患,心室内同期不全,各種心筋症や拡張機能障害,さらに弁膜症による心筋障害の病態解明に大きな役割を果たしてきた.またストレインエコーは化学療法に伴う早期の心筋障害の検出にも利用されている.さらにストレインエコーは左室のみならず右室や左房にも応用され,近年では技術の進歩に伴い三次元スペックルトラッキング法が出現した.しかし,ストレインエコーの結果に基づいた臨床判断が心疾患の患者の予後を改善させるか否かは十分な検討がなされておらず,今後の臨床研究が必要である.ストレインエコーは現在もなお発展途上であり,その長所・短所を十分に理解したうえで使用すれば,我々の日常臨床において,重要な役割を果たす可能性がある.
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© 2016 一般社団法人 日本超音波医学会
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