超音波医学
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原著
二次元および三次元スペックルトラッキング法による心筋虚血診断の精度
浅沼 俊彦岡 雅通増田 佳純櫻井 大輔中谷 敏
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2016 年 43 巻 5 号 p. 649-654

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抄録
目的:スペックルトラッキング法を用いた心筋ストレイン解析により,収縮期最大ストレインだけでなく,early systolic lengthening(ESL)やpost-systolic shortening(PSS)といった微細な心筋運動も容易に評価できるようになった.二次元(2D)法では,これらの微細運動評価により,虚血診断精度が改善すると報告されているが,三次元(3D)法での有用性は不明である.本研究では,2Dおよび3D法において,収縮期最大ストレインと比べて,このような微細心筋運動の評価が虚血診断精度を改善するかを検討した.対象と方法:麻酔開胸犬20頭を用い,左冠動脈回旋枝の狭窄前,20‐40%の血流低下時(狭窄1),60‐80%の血流低下時(狭窄2)に,2D法または3D法による画像を取得した.虚血領域の収縮期最大ストレイン,ESL,PSSを計測し,ROC解析の曲線下面積(AUC)から,各指標の狭窄1と狭窄2の診断精度を求めた.結果:2D法のAUCは,狭窄2診断では,すべての指標でAUC=0.5と比べて有意に高値であったが,狭窄1診断では,PSSのみが有意に高値であった(AUC: 収縮期最大ストレイン=0.70,ESL=0.72,PSS=0.87).一方,3D法のAUCは,2D法と比べると低く,狭窄1診断では,どの指標も有意ではなかった(AUC: 収縮期最大ストレイン=0.64,ESL=0.51,PSS=0.61).結論:スペックルトラッキング法による虚血診断において,2D法は3D法よりも優れた診断精度を示した.PSSによる診断は,2D法では収縮期最大ストレインよりも優れていたが,3D法ではその優位性は示されなかった.
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© 2016 一般社団法人 日本超音波医学会
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