超音波医学
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特集「女性排尿障害の超音波診断」
女性泌尿器科手術における超音波検査
寺本 咲子成島 雅博
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2017 年 44 巻 1 号 p. 27-35

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抄録
超音波検査は,ポリプロピレン製の生体材料であるテープやメッシュを可視化するのに最も適した画像診断装置である.今回は腹圧性尿失禁に対するTVT手術,骨盤臓器脱に対するTVM手術,LSCに対する超音波検査法について解説する.TVT手術では,経腹プローブを用いる.テープは超音波画像で高エコーの線状陰影として描出される.適切に挿入されたテープは中部尿道に位置し,矢状面で尿道と平行に,横断面で尿道背側を取り囲んでいるのが観察される.TVM手術では経腹プローブ,経膣プローブ,リニアプローブを用いて,メッシュの固定位置,挿入されている深さ,形状を観察する.メッシュは超音波画像で高エコーの線状陰影として描出される.適切に挿入されたメッシュは,恥頸筋膜または直腸膣筋膜の層で,前壁メッシュは膀胱頸部から子宮頸部,後壁メッシュは膣口付近から子宮頸部に位置している.LSCでは経腹プローブ,経膣プローブ,リニアプローブを用いて,メッシュの固定位置,深さ,形状を観察する.子宮膣上部切断術を併用したLSCの場合,前壁メッシュは膀胱頸部から子宮頸部の範囲で恥頸筋膜の層に,後壁メッシュは膣口付近から子宮頸部の範囲で直腸膣筋膜の層に位置し,子宮頸部断端で前後メッシュが連結する.女性泌尿器科手術の広まりとともに,超音波検査はその診断ツールとして今後ますます重要な位置づけとなるだろう.
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© 2016 一般社団法人 日本超音波医学会
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