抄録
女性尿道の超音波検査は一般的な検査ではない.しかし,文献的には興味深い報告が散見される.特に,腹圧性尿失禁の病態を解明するモダリティとしての役割が大きい.その理由として,長さや角度といった解剖学的なパラメーターを測定することが容易である点,動的な検査なので失禁の瞬間を捉えられる点,血流を評価できる点が挙げられる.腹圧性尿失禁では,解剖学的な異常,腹圧時におけるダイナミックな所見,尿道ないしその周囲の血流は,病態に深く関わることが分かる.また,最近の報告によれば,尿の禁制に関わる尿道の役割として,従来考えられていたcloserとして以外に,実はopenerであるという新しい報告も認め,今後さらに病態や機能を明らかにするモダリティとして注目を集めると思われる.さらに本稿では,尿道内腔にゼリーを注入した状態で尿道を観察するソノウレスログラフィーの所見を供覧し,今後の女性尿道超音波検査の位置づけについて論じる.