2017 年 44 巻 2 号 p. 175-178
食道粘膜下血腫はまれな疾患で,保存的治療で治癒する予後良好な疾患である.症例は47歳女性.主訴は腹痛,嘔吐(吐血).他院で骨形成不全症と診断されていた.心エコー図検査では心機能に問題なく,弁膜症も認めなかったが,左房後方に左房を軽度に圧排する腫瘤像を認めた.胸部CT検査では食道壁の肥厚を認めた.上部消化管内視鏡検査では胃噴門部に暗赤色の巨大腫瘤を認め,腫瘤は上部食道へ連続していた.食道粘膜下血腫と診断し,保存的治療を行った.第7病日には症状は改善され,心エコー図検査を利用して血腫の消褪を観察することができた.第14病日の上部内視鏡検査で血腫の消褪を確認した.