超音波医学
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総説
Vascular access作製の術前評価と管理:血管 初級
小林 大樹末光 浩太郎
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2017 年 44 巻 3 号 p. 261-269

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抄録
近年,バスキュラーアクセス(vascular access: VA)に対する超音波検査が普及している.その主な検査目的は,作製前の血管評価と作製後におけるVAの状態や合併症の評価である.作製前においては,血管径や血管壁の性状,連続性などを観察し,自己血管内シャントや人工血管内シャント,動脈表在化などの術式の判断に用いられる.第一選択は自己血管内シャントであるが,表在静脈荒廃などの理由で作製が困難と判断される場合は,人工血管内シャントや動脈表在化も考慮する.最終的には動脈と静脈を吻合すると,どのような血行動態を示すVAになりうるかを考えることが重要である.VA作製後,恒久的にそれが維持できれば良いが,大部分は何らかの合併症を発症する.最も多いのは,狭窄病変の発現であり,その進行により閉塞に至る.閉塞すれば治療の成功率も低下することから,可能な限り狭窄の段階で適切な時期に治療介入することが理想的である.そこで,超音波パルスドプラ法を用いた血流量や末梢血管抵抗指数(resistance index: RI)の計測と,血流量に相応する狭窄病変の程度や形態,部位,範囲を評価し,血行動態を把握したうえでVAの良否や治療の適応を判断する.超音波によるVAの評価は,その機能と形態を非侵襲的に同時に観察できることから,今後も多用されるべき方法のひとつであり,長期維持に大きく寄与するものと考えられる.
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© 2017 公益社団法人 日本超音波医学会
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